防音材にはどんな種類がある?目的に合わせた利用方法について

防音材は、気になる騒音の軽減に加えて音の反響の調整やコントロールにより、快適な音響環境を実現します。特に’AV器機や音楽や楽器演奏など、趣味や娯楽における没入感を向上させてくれることでしょう。
防音効果をもつ素材を防音材といいます。性能に応じていくつかの種類があり、設置場所や目的によって使い分けることで最適な防音効果を発揮します。主な種類としては遮音材、防振・制振材、調音・吸音材の3種類があり、最適に組み合わせることで本来の目的を発揮します。ここでは防音材の種類とそれぞれの特徴的な性能、選び方について紹介していきましょう。

空気音や固体音を遮る!遮音材に特徴

防音材

遮音材は、空気音や固体音を遮る機能を持つ素材です。音が壁や天井、床などを通して外部に漏れないように遮蔽(跳ね返す)します。物理的な比重が高いほど遮音性能を発揮するため、質量の大きなコンクリートや鉄板、鉛などだと最適です。

ただしこれらの素材は施工性において課題があるため、多くの場合で遮音シートや社員性能を持つ石膏ボード、防音マットなどが利用されています。壁・天井・床、ドアや窓やコンセントなどの開口部などに施工することで強力な遮音性能を発揮します。ただし遮音性が高いほど音が反響して室内に響くため、対策として調音材や吸音材を用います。

遮音材の性能を判断する基準となっている遮音等級「D値」と「L値」についても触れておきましょう。D値は空気音の遮蔽性能を示す等級となっており、値が大きいほど高い防音性能を発揮します。空気音は話し声やペットの鳴き声、室外からの騒音など他、空気を伝わって伝播する音のことです。

L値は、固体音に関する等級となっており、数値が小さいほど性能が高くなります。固体音とは椅子を引いたときに発する音やドアや窓の開閉、足音などに加えて床に直接接する楽器(ピアノやドラム)などが、床や壁を通じて伝わる音のことです。

遮音材は、音が外部にもれないように遮蔽する機能を有しています。その代わりに音が反響することから腸音・吸音材による対策が求められます。伝わる音の特徴に応じて、D値とL値の等級が設けられており、その値の違いによって遮音性能の高さを判断できます。

振動を伝わる音を抑制する!防振材と制振材

防音材

音は振動を通じても伝わっていくため、防音性能を高める際に欠かせないポイントとなっています。防振材とは振動を防ぐ効果や機能を持つ素材のことで、床や壁を通して伝わる音を抑制する効果を発揮します。遮音性能の高いことで知られるコンクリートや鉄板などの金属素材ですが、その一方で振動を伝えやすい特徴を持つため、主にRC建築物の場合は防振材を施工するのが一般的です。

最近では快適性を高めるために木造建築物に施工される場面も増えています。防振材に用いられているのは、ゴムやシリコン、ウレタンなど柔軟性を持つ素材が利用されます。また多孔性質材料を用いることで同様の効果を期待できます。

制振材は、振動を減衰させる制御機能を持つ素材です。床や壁に制御する素材を設置することで振動を吸収、共振で生じる音を素早く抑えます。制振材は、原因となるものに直接直貼りして使用されており、そのほとんどが床振動に対応できるようシート状をしています。制振素材としては高い耐久性と長期間の制振性能を発揮するゴムシートが最も良く利用されており、コスト的にも魅力があります。

固体音を伝えてしまう振動対策には、防振材と制振材を用いるのが一般的です。振動を抑える原理は違いますが、いずれも固体音を防止するために欠かせない素材となっており、特に生活音を伝わる床材に使用されています。佐伯では防振材と制振材に遮音機能を与えたシート型やマット型も登場しているため、より高い防音効果を期待できるようになりました。

音の響きを調整・コントロールする!調音・吸音材と拡散材

防音材

遮音性能を高めるほど室内に響き渡る反響音も大きくなってしまいます。その対策となっているのが、調音材や吸音材の採用です。調音材と吸音材の機能には大きな違いはなく、呼び方が違うだけと考えて構いません。室内に生じる反響音を抑制するために利用されており、音が響いている時間を短縮する効果があります。

グラスウールやウレタンスポンジ材などを用いたシート状やマット状のものが一般的になっており、壁や天井の表面に直接施工するため意匠性やカラーリング、柄なども多彩です。素材が軽量であるため壁や天井に設置できるので室内に響く音を調整するのに役立ちます。音の響きを広げる拡散材についても紹介しておきましょう。

音の響きをコントロールできるため、快適性に直結する機能と言っても良いでしょう。調音・吸音材が反響する音を抑制するのに対して、拡散材は音響を特定の方向に向きて拡散させる機能を持ちます。音の響きをコントロールできるため、スピーカーから発する臨場感あるサウンドを楽しめます。拡散材は音響にとって重要な場所や壁、あるいは天井などに設置されることが多くなっており、その形状は多種多様です。

素材には、天井にも設置できる軽量性と様々な形状にできる加工性の高いプラスチック素材が多く利用されており、適切に設置することで音響環境を格段に向上させます。調音・吸音材や拡散材は、室内に響く音を調整したり拡散したりする機能をもつため、防音性能を高める際に欠かせないものとなっています。

費用対効果で決めよう!防音材の選び方

防音材

防音材を検討している方の多くが、より高い性能を求める傾向があります。どうせ防音材施工するのだからできるだけ高い性能にしたいという気持ちは理解できますが、一呼吸置いて費用対効果を考えることをおすすめします。一般的に遮音性能が10dB向上すると施工費用が約2倍になる場合がほとんどなので、しっかりと予算を計画しておきましょう。

抑えておくべきポイントとしては、対策したい騒音の確認をしておきます。具体的には人の話す声の大きさ、エアコンの室外機の稼働音、車のアイドリングや水洗トイレの水を流す音や掃除機、ピアノやサックスなどの楽器の演奏で生じる環境音などになります。対策したい騒音をはっきりさせることで目的を明確化しましょう。また環境音や人の話す声の大きさを判断する場合は、騒音計を用いると便利です。

部屋に求める遮音性能も考えておいてほしいポイントです。静かに眠れる環境を求める場合は20dB以下がよく、日常生活に困らない程度の快適性であれば50dB程度の遮音性能があると十分でしょう。対策したい騒音と求める遮音性能がはっきりしたら製品を選びます。対策したい騒音レベルから実現したい遮音性能を引けば、必要な製品が見えてきます。

例えば対策したい騒音が80dB、実現したい遮音性能が30dBの場合だと50dBの遮音性能を持つ製品が良いです。またカラオケや映画、ライブなどを楽しむ場合はやや反響のあるものが選ばれており、楽器演奏の場合は反響の弱いものが好まれています。

まとめ

防音材

防音材には、機能や性能によって遮音材、防振材と制振材、調音・吸音材と拡散材があり、それぞれを効果的に活用することで快適な音響環境や室内空間を実現できます。防音性能は高ければ高いほどよいというわけではなく、対策したい騒音と実現したい環境を考慮した上で検討しておくと費用対効果の高い防音材施工にできます。自宅にシアタールームを設置したりピアノやサックスなどの楽器を演奏したり、カラオケを楽しみたいときは、防音材を検討するとよいです。